いぬ、ねこ、とり、さかな、・・・

かつて憲法改正が声高に叫ばれていた頃、その理由としてよく登場したのが、「現憲法は、連合国に押しつけられたものだから」とか「今の時代にそぐわないから」とか・・・。ここ今日に至っては、その理由は空虚さすら感じてしまいますが、たしかに現憲法は終戦後、GHQ案をもとに制定されたものというのは事実なので、「押しつけ」というのは全くの言いがかりという訳ではないといえます。ただ、「押しつけ」なのか「押しつけでない」のか・・・・二者択一ではなく、押しつけらた部分とそうではない部分をきちんと整理する・・・・。この本では、憲法制定時の経緯を研究する著者が、最新の調査結果をもとに、「押しつけではない」部分にスポットをあて紹介されています。特に強調されているのは、憲法九条にいたる、GHQ案が「戦争放棄」に「平和条項」が追加されたこと、またGHQ案にそぐわない前文の「平和主義」。現憲法には、GHQ案にはなかった平和への志向が盛り込まれているということだそうです。日本国の憲法なのだから、「日本の歴史や文化、価値観が盛り込まれるべき」という意見も理解はできますが、「どのような国をめざすのか」「そのために何をしなければならない（何をしてはいけない）のか」ということが、日本国民意識に合致して表現されていることが、やはり重要なのだと改めて感じました。